OB会長の挨拶

土肥 義治

平成26年5月末

aisatsu_kaicho 本年6月開催の理研OB会第41回総会において推挙・承認され、小川智也先生の後任として新しい会長に就任いたしました。小川前会長の方針を引き継ぎ、会員みなさまの親睦と現役職員との交流を通して、理化学研究所の発展を支援するOB会の活動を続けていきたいと考えています。幸いに、理研を知りつくした大河内眞さんが副会長に就任されました。また、幹事には、理研を愛してやまない方々18名が就任されております。我が国の科学技術史に燦然と輝く理研の歴史とその精神を確認しつつ、理研創立100周年にあたる2017年を迎える準備を進めていきたいと思っています。
 わたくしは、1992年に理化学研究所に主任研究員として入所し、高分子化学研究室を主宰いたしました。大学から移ってきた研究者にとって、理研は科学者の楽園でした。事務の方々による手厚い支援、研究に集中できる環境、研究者の異分野交流、研究者の自立精神など、大学では望めない素晴らしい環境で研究者人生を送ることができました。このような研究三昧の生活は長続きすることはなく、2004年に理事(研究担当)に就任して研究の管理運営を行うことになりました。その後に総括担当となり研究所経営も経験いたしました。2010年からは、社会知創成事業本部長として理研のイノベーション推進活動、とくに産学連携を担当いたしました。2013年に理研を離れて、大型放射光施設SPring-8の運営を行う公益財団法人高輝度光科学研究センターの理事長に就任して現在に至っております。研究や仕事を進めるにあたり、“焦らず、弛まず、諦めず”を心がけてきました。
 さて、現在の理化学研究所の組織、体制、研究分野、研究基盤、研究活動、事業活動などは、理研百年の歴史の反映です。研究組織のこれからを展望するためには、組織のこれまでの歴史を的確に把握して評価しておくことが必須です。理研OB会の重要な活動は、理研のさらなる発展のために、その歩みをできる限り正確に記録しておくことと考えます。万葉の時代から、人々は歴史を記し、言葉の力を信じて歌を詠みました。大伴家持(718-785)が左大臣橘諸兄(684-757)に贈った寿歌二首の原文と訳を、ここに紹介いたします。
 青柳の上枝よぢ取り蘰くは君が屋戸にし千年寿くとそ(青柳乃 保都枝与治等理 可豆良久波 君之屋戸?之 千年保久等曽)
 山吹の花の盛りにかくの如君を見まくは千年にもがも(夜麻夫伎乃 花能左香利? 可久乃其等 伎美乎見麻久波 知登世?母我母)
 原文には、音の万葉かなに混じり、訓(青柳、君、千年、花)が使われており、日本語進化の過程を見ることができます。万葉の時代には、百年ではなく千年の繁栄を祈念して、その願いを言霊にいたしました。
 微力ではありますが、万葉歌にならい理研千年の繁栄を祈念して、理研OB会の会長を務めさせていただく所存です。みなさまのご支援とご協力のほどを、よろしくお願い申し上げます。

 

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